ウナギの人
11月7日発売のおなじみ『ダカーポ617号』では、
「いい男」になるための男の身体検査!が、特集されてました。
色々な男女が出てきて、「こういうのがいい」と
それぞれに別々のことを言います。
特集が特集ですからスポーツ、お笑い、政界と
様々な世界で活躍する男の人が引き合いに出されてましたけれど、
私はその人々を尻目に、
とても「いい男」を別コーナーで発見してしまいました。
『ウナギ』の著者、井田徹治氏。
自然を学ぶ人が持っている、きれいに透き通っている目。
チェックのワイシャツが、白いズボンにきっちりと
しまわれていましたけれど、そんなことはどうでもいいの。
遠くを優しい目でみつめていらっしゃる。
その背景には、チンパンジーなどの写真がある。
優しい笑顔のアップの隣には、白の文字で
人間は、生き物を利用してしか生きられない
でも、それを忘れた
って書いてある。
ガーン
なんて素敵なんだー!
大学院のときに現地調査でご一緒させていただいた井上真先生、
まじめなシンポジウムの会場を笑いで包んでしまう羽山伸一先生。
自然や動物を愛する先生たちはとても人にも優しいのですが、
「あれは○○という鳥の声だよ」とか、
「今ちょうどイノシシが通った後だ」とか、
折に触れて、私達をときめかせるようなことを言ってくださる。
そんな二人に、環境を学ぶ女子大生たちはメロメロでしたよ、そりゃあもう。
そういう雰囲気なんです。
彼は「キー・ピーシーズ」としてのウナギの絶滅危機について語っていました。
生態系が良好な環境でしか暮らせないウナギが危機的に減っているということは、
それだけ様々な種が滅んでしまっているということ。
しかしいわゆる「種の多様性」は、環境問題の一分野として研究されていますが、
いまや身近となった温暖化や目に見えるごみ問題などと異なって、
いまいちそのインパクトが分かりづらい。
東大文学部を出た彼は、それについてこう説明します。
・・・『リベット抜き』という話について考えてほしい。
それは、種の絶滅は、飛んでいる飛行機から、一本ずつリベットを
抜いていくのと同じようなものだということです。
飛行機にはたぶん何万本もあるから、1本や2本抜けてもどうという
ことはない。でも、そうやって抜き続けていけば、いつか限界が来て、
飛行機はバラバラになってしまう。
わかりやすい!
しかも、そんな大切なウナギが絶滅しようとしているのに
「これからでも遅くはない」と「悲観も絶望もしていない」んです!!
今日テレビでも、あと40年で食用の魚類が絶滅するといわれて
ショックだったけれど、「これからでも・・・」の一言と、
希望を失わない美しい目ですっかり私は元気付けられたのでした。
正しく危機を伝えられなかった「ジャーナリズムにも責任がある」と
語る彼に、「学者語の翻訳」というテーマで、いつかお会いしたい。


